川とともに26年
吉野川とともに26年
救急車を呼んだことは一度もない。それには理由がある。
ツアーを行う前に、何を確認しているか
判断の優先順位はこの順番で動く。
①水位 ②早明浦ダムの放水量・貯水量 ③予想雨量 ④気象情報
4つの基準のうち3つ以上が該当すれば中止、2つの場合はコース変更または少人数での開催とする。
具体的な中止条件は以下の通り。
- 前日時点で大豊水位計が4.5mを超えた場合→翌日全コース中止
- 当日朝6時時点で早明浦ダムの放水量が500t以上の場合→即中止
- 当日朝6時時点で上流域に大雨警報が発令された場合→即中止
規定水位の上限ギリギリでの開催はしない。実際の運用はより厳しく、中級コースは大豊水位計2.5m以上、ファミリー向けコースは4m以上で中止としている。
確認する水位計は豊永(とよなが)観測所・下名(しもみょう)観測所・南小川観測所の3か所。大歩危コースは豊永観測所と南小川観測所を主に参照し、小歩危コースは下名観測所をメインに確認する。
増水時は支流の穴内(あなない)川もあわせて確認する。穴内川上流の山崎ダムはリアルタイム情報が公開されていないため、必要に応じて直接電話で放水量を確認している。
早明浦ダムの読み方
貯水率の表示が100%でも、実質的な満水水準は季節によって異なる。夏期は約1億9500万立方メートル、冬期は約1億7500万立方メートルが実質的な上限で、表示上の100%がこの数字と一致しない場合がある。
貯水量がこの水準に近づき、流入量が放流量を上回っている場合は増水を予測して判断に織り込む。ダムの放水がツアーコースに到達するまで約4〜6時間かかることも考慮する。
台風のとき
台風が発生した時点から進路を追い始める。「台風が来た=中止」ではない。
- 気象庁の3日前進路予測が高知県に直撃コースの場合→日程変更をお願いする
- 2日前時点で嶺北地域が暴風域に入る確率50%以上→希望者のみ中止、開催希望の方は前日まで判断保留
- 前日12時発表の進路・雨量予測で最終判断
中止・変更の告知は前日17時を基本とする。連続した雨や前線接近が2日前から予測される場合は、2日前17時から告知する。
気象の読み方
天候が予想しずらいときはメッシュ予報で雲の動きと雨量を確認する。晴れ間が出るタイミングだけでなく、どれだけ降るかの予測にも使っている。雨が降っていても出発できる場合があるし、晴れていても上流の雨量次第で中止になる場合がある。台風接近時は複数の気象モデルで風向きと進路と降水量を台風通過まで確認しつづける。
判断の土台には26年分の経験則がある。藤の花が多く咲く年は増水しやすい、といった川の癖を知っている。水位計の数字だけでなく、複数の情報を重ねて判断している。
装備
ウェットスーツは夏を含め通年着用する。足の保護が目的で、水温に関わらず必須装備としている。上着は水温20度を目安にラッシュガードに切り替える。風が強い日はラッシュガードではなくパドリングジャケットを着用する。ジャケットは濡れた状態で風を受けると体温を奪うため、風向きと強さで判断する。
ゲストには全員、急流対応のPFD(米国沿岸警備隊認定品)・ヘルメット・ウェットスーツを提供する。装備はNRS(アメリカ製リバーギア)を使用。
ガイドはレスキューロープ・リバーナイフ・ホイッスル・カラビナを携行し、Zドラッグシステム(ロープレスキュー器材)を常備する。無線または携帯電話2台で陸上サポートと連絡を取りながら進む。
全ツアー終了後に毎日、運行日報を記録している。水位・気象条件・ハプニングの有無を毎回記録し、リスク管理の継続的な改善に使っている。
ガイドの資格と訓練
ガイドの就業条件は、救命救急講習とレスキュー講習の受講、およびツアーコースでの単独・同乗それぞれ20トリップ以上の経験。全ツアーに、ガイド歴15年以上のベテランガイドが必ず1名同行する。
代表ガイドはガルバンゾ創業から吉野川を下り続けているベテランガイド。開催判断はその経験をベースに行う。
サブガイドはウィルダネスファーストエイドを日本で取得後、ワーホリ中のカナダで90時間コースを英語で修了。日本赤十字社の救命講習も受講済み。定期的にリフレッシュ更新を続けている。
中止・変更のご連絡について
夜間に緊急放水が発生する場合もある。朝6時に中止判断が出た場合、代表者の携帯電話にSMSまたはLINEで連絡する。希望者には朝7時以降に電話で詳細を説明する。当日の急な天候変化にも同様に対応する。
台風の進路上に自宅がある、帰路が台風通過と重なるなど個別の事情がある場合は、安全確保のため別途ご相談を。
